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サステナビリティ方針の達成に向けて

 現代社会は、地球温暖化、気候変動、生物多様性の喪失といった環境問題に加え、貧困、格差、人権問題といった社会課題が複雑に絡み合い、その解決に向けた取り組みは、企業にとっても避けて通れない課題となっています。国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)は、これらの課題への共通認識を示し、社会全体の変革を促す羅針盤となっています。

 フジトランスグループは、このような状況を踏まえて2021年にサステナビリティ方針を策定しました。単に法令を遵守するだけでなく、企業活動を通じて社会の発展に貢献し、持続可能な社会の実現に向けて取り組むことを経営の重要な柱として位置づけています。

 われわれが直面している重要な課題の一つが、カーボンニュートラルへの対応です。RO/RO船を運航する当社グループは、燃料由来のCO2の排出を余儀なくされており、事業活動に伴うCO2排出量の削減が喫緊の課題です。日本政府が2050年までのカーボンニュートラル実現を宣言し、社会全体が脱炭素化へと大きく舵を切る中、われわれもこの潮流に積極的に対応していく必要があります。そこで、2030年をマイルストーンとしてCO2排出量を2019年比で25%削減することを目標に掲げています。

 現在、運航効率を最大限に高めるための航路最適化に取り組んでいるほか、船の更新タイミングに伴って省エネ技術の導入を進めています。また、将来の燃料転換を見据え、次世代ゼロエミッション燃料の実用化に向けた技術開発の動向を注視し、採りうる手段と適切なタイミングでの導入を見極めてまいります。

 国内の物流業界全体が抱える共通の課題として、労働時間規制の強化による深刻な人手不足が挙げられます。特に、船員、トラックドライバー、そして現業員における人材確保は、当社グループの事業継続を左右する重要な問題です。物流は「経済を動かす血液」と呼ばれ、社会を支える重要な基盤です。当社グループはその役割を担っているという自負を持ち、物流を止めないための努力を惜しみません。

 対策の一つとして、社員一人ひとりが心身ともに健康で、意欲を持って仕事ができる環境づくりに積極的に取り組んでいます。定期的な健康診断の実施やメンタルヘルスケアの充実、柔軟な働き方を支援する制度の拡充、そして社員のスキルアップを支援する研修制度の提供などを通じて、社員エンゲージメントの向上を図っています。

 取り組みの一環として2030年までに「健康経営優良法人」の認定を取得することを目標にしました。しかし、2024年に達成したため、目標をステップアップさせて「健康経営優良法人ブライト500」の認証を新たな目標としました。

 また、業務の効率をさらに向上させるために、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進も不可欠な要素です。当社グループでは2024年にDX方針を掲げ、事業本部ごとにDXの検討チームを組成して取り組んでいます。デジタル技術を積極的に導入し、業務プロセスの抜本的な見直しを図るとともに、新たな事業価値の創造を目指しています。

 フジトランスグループは、SDGs方針「フジトランス サステナビリティ ビジョン 2050」の下、変化する社会のニーズに適切に対応し、持続可能な社会の実現に貢献していく決意です。ステークホルダーの皆さまとの建設的な対話を通じて、より良い社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。

株式会社フジトランス コーポレーション 代表取締役社長 津本 昌彦